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Toad Sack SilとオールドスクールULギアの話

僕がULギアに魅せられた数多くの理由の中に「安っぽさとダサさとバカバカしさ」がありました。「こんなので山行けるのかよ!」とか「めちゃくそダサい!」とか「ミシン下手だなぁ」など。しかしそのネガティブな要素の裏側に見え隠れする造り手のプリミティブでマッドなモノ作りに衝動を受けたのを覚えています。このToad Sack Silは自分がULに出会った頃にワクワクしたゼロ年代のULギア、所謂、オールドスクールULハイキングギアをイメージして作りました。

X-Packやハイブリッドキューベンではなくシルナイロンで。それも30d。PUコーテッドではない、あの縫いにくいシルナイロン。かつてのインテグラルデザインやゴッサマーギア の30dシルナイロンプロダクトと同じ生地。しかし当時の生地でそれらを再現したレプリカでは面白くない。そこにJMWのエッセンスをいれました。

巾着絞りではないロールトップ仕様は雨や雪から荷物を守り、バンジーコードが付けられるループを4つ装備しシェルやピッケルをホールドしたり。

そしてアタックザックとしての活用も想定して肩からズレ落ち難い幅広いショルダーハーネスにオプションパーツのチェストストラップを装着できたり。

写真や表からは見えないですがショルダーハーネスの中には強度を上げるスタビライザーとして1incテープを付け根から下まで仕込んでいたり等。見た目はただのULオールドスクールなナップザックですが僕の経験と技術、そして「あったらいいな」を形にしました。

背面にメッシュポケット付いてたらなぁ、と思う人もいるかと思います。背面ポケットも検討したのですが良くも悪くも山道具っぽさが出てしまうのとオーバーナイトハイキングの時の寝袋などスタッフサックとしての使用も考えてバックパックへのパッキングし易い様にとメッシュポケットは廃止して背面には4つのバンジーループだけ留めました。

このToad Sackには使い易さより最低限の実用性を。そして可愛さや遊び心を求めました。

オールドスクールと謳っていても、そこはUL。100gを実現する為にバックルやテープアジャスターなどの数あるプラパーツは全て重さを測り、重量計と睨めっこをして強度を担保できるギリギリの軽量パーツを選びました。100gを目指す為に使用するテープ類も厚み、幅が異なる3種類を使い分け、素材もナイロン、PPと2種類を使い分け。強度と負荷を考えて適材適所のセレクトしました。
しかし、そのほとんどは内部に使われていたりと表から見ただけでは気付く事もない変化です。1種類のテープを使い回せばコストも手間も省く事が出来るのですが...。そこは浅草生まれの江戸っ子気質だと思ってください。江戸っ子は裏地に拘るのです。そんなところもJMW。無駄な努力を笑ってもらえれば本望です。

10年後。もし、このToad Sackを未来のULギアクラフトマンが手にした時に「このナップザック、面倒臭い作り方してるな」なんてニヤッとしてもらえたら嬉しいかも。そんな思いもあります。

アンダー100g。掌の上に収まるパッカブルサイズ。それはかつて僕が魅せられたULギアの様に…。

と、ここまで偉そうに書きましたが、たかがパッカブルなナップサックです。もし手にする機会があったら色々と楽しんで貰えたら幸いです。

*シルナイロンは防水生地ですが縫製にミシンを使用しています。極細のミシン針(9番)を使用し、濡れた時に膨張しやすい太いスパン糸(30番)を使い縫製しています。これは細い針穴に太い糸を無理矢理に通して針穴の大きさを最小限に抑える縫製技術です。しかし完全防水とはならず、Toad Sackはシーツシールも施していないので生活防水程度の認識での使用をお勧めします。